日本で公証というと、なかなか大掛かりなイメージがありますよね?遺言書の作成から不動産の登記まで、公権力に基づいて書類を作るというわけですから、それなりの厳重さがありますし、それなりの費用が掛かったりします。そしてその公証は公権力に基づいて書類を作るわけですから、公証人という立場により行われます。
フィリピンでは公証がとても盛んで、頻繁に公証(notarization)する場面があります。日本からフィリピン株を現地口座(インターネットで現地に行かないで開ける証券口座としては、AB証券、いわゆるAB Capital Securitiesが有名)を使って株取引を行っていると、例えば配当には25%の税金がかかります。これを下げるために証券会社によってはフィリピンに在住している旨の書類に公証をしてもらってくださいと案内がある場合があります。ちなみにAB証券は書類にサインをするだけで問題なく税率を下げてもらえました。
日本ですら株式の配当にかかる税金は20%強くらいなのに、わざわざ情報を得難いフィリピン株を25%の税金を払ってまで日本からする意義があるのか、送金して取引を始める前に考えてもらいたいです。しかも信用取引もできないので株取引の旨味がほぼない状況です。日本に住んでいるなら信用取引をしたりNISAを使った方が全然いいです。成長性を求めるなら東証グロースの銘柄に投資した方が・・・と思わなくもないです。フィリピン株だって全然成長しない銘柄はゴロゴロしてますからね。
実はフィリピンでフィリピン現地の証券口座をフィリピンのIDを使って開設した場合、基本的には配当や売却益にかかる税金は10%なのですが、特定の銘柄によっては初めて配当を貰う時に宣誓書を提出する必要があります。しかもその書類には公証が必要で、公証してもらった書類を提出することで配当金にかかる税金が25%から10%まで下がります。それらの銘柄は以下の通りになっています。
これらの銘柄を持っていると証券会社から宣誓書が添付されたメールが届きます。公証してもらって書類を返却することで配当金にかかる税金が10%まで下がりますよ、もしツーリストビザなどで口座を開いていた場合、当該株式会社の意向によって税金が25%になるかもしれないですよといった感じの案内がされます。この宣誓書は初めて上記のリストにある会社から配当金を貰うときに提出するもので、以降はIDの確認くらいがあるくらいでしょうか。これは日本株にはないシステムですね。
フィリピンの公証は弁護士事務所、あとは郵便局や市役所などの公共施設の周辺にテントを立てて道端でやっています。残念ながら、写真を取り忘れてしまいましたが、こんなところでおばちゃんたちが驚くべきスピードで書類にハンコとシーリングとサインを行っているのは不思議な感覚がします。
基本的には弁護士事務所でやってもらう方が高いですが、マカティの相場は書類にもよりますが300ペソ前後です。僕は郵便局周辺の道端のおばちゃんにやってもらったのですが、300ペソで1分で終わりました。ぼったくられる話を聞きますが、レシートをきちんともらうように要求すれば、基本的にこの手のサービスで過剰に請求されることは稀です。ビザの取得や国境でわいろを色々な国で何度も何度も要求された旅行の智恵です。
住所がマカティの郵便局になっていますが、これで公証として機能するというのが全く不思議です。郵便局の入り口はマルガイ・ストリート側(Air mallのある方)とヒル・プヤット側(公園の隣)があって、そのどちら側にも公証してくれる出店(?)があります。どちらも料金は同じでした。
恐らく市役所くらいまでいけば200ペソくらいまで下がるかもしれませんが、最近は物価の上昇もあってマカティならこの位が相場な感じもします。
これからフィリピンに住む人は、一度は必ずお世話になるのが公証ですから、相場感の一つの参考となればと思います。