フィリピンのコンドミニアム投資は安泰なのか

フィリピンに移住するにあたり、コンドミニアムに住むことを検討する人は少なくないと思います。かく言う僕も実際にコンドミニアムに住んでいます。僕の場合はコンドミニアムが完成した時に高値で売れると見込んだ人が、そのターンオーバーの時に買い手が見つからずに投げ売りしたものを購入したので、プリ・セールスよりも安く購入して住んでいます。シンプルに新古品を買ったと言った方がいいでしょうか。一方で実際に住むのではなく、賃貸に出したりAirBnBで運用して投資するというものを目にしますが、今のフィリピンは気を付けた方がいい状況です。

フィリピンの家賃は右肩上がりで、資産価値もどんどん上がっているという謳い文句ですが、懐疑的にならなければなりません。住むのと投資するのとは条件がかなり異なりますし、投資するからには源資がマイナスになるようでは美味しくありません。

ということで、フィリピンのコンドミニアム投資をする時に熟考すべきことをいくつかシェアしておきたいと思います。

利回りとフィリピンの平均賃金

1200万ペソの物件の5%のリターンは月5万ペソとなります。しかしメトロ・マニラの平均月給は27,000ペソとなっています。これだと現地に住む人は借りられないという状況になっていますね。そのため貸し出す先はフィリピンの富裕層か外国人ということになります。富裕層は既に自宅を持っていますし、頼みの外国人となるとPOGOが正式にフィリピン国内で禁止にされました。その影響は甚大です。POGOで働いていた外国人は高い家賃のコンドミニアムを借りていたり、あるいはコンドミニアムを購入していたわけですが、それが一気になくなったわけです。

Manila Standardの記事(Metro manila office rents decline as more POGOs exit)には以下のようにあります。

”Metro Manila office and retail space rental rates continue to decline as more Philippine offshore gaming operators (POGOs) exit and new buildings are completed.”

“While stable office take-up in existing buildings helped lower vacancy rates to about 19 percent, new buildings entering the market show low pre-commitment levels.”

BusinessWorldの記事(Metro Manila office vacancy rate to rise to 20.5% by yearedn – Colliers)では以下のように伝えています。

“THE OFFICE VACANCY rate in Metro Manila is projected to reach 20.5% by the end of the year, driven by the influx of new office space and the departure of Philippine offshore gaming operators (POGOs), according to property consultancy firm Colliers Philippines.”

いやいやオフィスの空室率でしょ?って話かもしれませんね。POGOが借りていたオフィスの空室率が上がるということは、そこで働いていた人たちは職を失ったわけです。その人たちはどのように家賃を払ったりローンを支払ったりするのでしょうか。

そのため今のフィリピンで外国人を頼りに利回り5%を目論むには少し無理があるような気がします。加えてコンドミニアムの管理費、コンドミニアムの部屋にかかる税金、コンドミニアムの土地にかかる税金(戸割)などが掛かってきます。この税金は後述するように法律が変わりました。またAirBnBにしても賃貸にしても業者を介していれば、手数料が掛かりますから利回り5%は遠くなるでしょう。

公式な空室率というものが存在しない

コンドミニアムを投資用に購入する際におススメの視察方法があります。恐らく内覧等はお昼に行きますよね?是非とも夜にコンドミニアムを眺めてみてください。できれば数日連続して見ることをおススメします。すると電気が付いていない部屋が目立つと思います。これは賃貸できていない、あるいは誰も住んでいない部屋の可能性が大きいです。つまり賃貸に出す、あるいはAirBnBでの運用にしても難しいことが想定できます。

なぜこのような視察を勧めるかと言うと、実はフィリピンには公式に公表している空室率がないからです。ですから完売などと言うことはできても、そのプロジェクトのユニットの空室率は0%なんて言えないわけです。それに会社としてユニットの在庫が完売というだけで、デベロッパーの公式のウェブサイトで問い合わせると全然たくさんユニットが売ってたりします。実際、僕の住んでいるコンドミニアムも日本の会社では「完売御礼」みたいな感じになっていますが、ロビーでデベロッパーのエージェントが普通に売ってます(笑)その会社が保有している物件が完売になっただけで、人気のため完売となったとは意味が違うのは気を付けないといけないでしょう。

コンドミニアムの値段は上がっても家賃が上がらない

例えば2016年のBGCのコンドミニアムの値段は1平米あたり10万~15万ペソですが、2024年には1平米あたり25万ペソ~となっています。一方で家賃がそこまで急激に上がっているかと言えば、そんなことはないですよね。せいぜい数千ペソが関の山です。つまり物件の価格が上がる一方で家賃はそんなに変わらないわけですから、利回りは当然低くなります。フィリピン人の平均月給でそもそも足りない状況で、しかもPOGOだって禁止にされた今、一体どこの誰が高い家賃を払ってくれるのでしょうか。

新しい税制

マルコス大統領はReal Property Valuation and Assessment Reform Actにサインしました。これは簡単に言えば市場価格に基づいて不動産などの税金を計算するということですが、そもそもコンドミニアムの1平米あたりの価格はデベロッパーが恣意的に付けているものなので、新築コンドの1平米あたりの価格が上げられれば、周辺の既築コンドミニアムにかかる税金も自動的に上がります。

一方でチャンスなのかも

POGOが禁止されて需要と供給のバランスが完全に崩れています。そのため意外にペントハウスなどが信じられない値段で売られていたり、これまで需要があっても供給がない地域の物件(サルセドの中心やレガスピのグリーンベルト寄り)もで始めています。そのため今はいい物件を安く手に入れるチャンスだとも言えます。

僕は幸いなことにプリセールスよりも安く、また確認する限り市場価格よりも安く買うことができました。

コンドミニアムは人生の中の大きな買い物の一つですから、十分に熟考して、またフィリピンの動向を自分の目でしっかりと確認して欲しいと思います。

この記事を書いた人
2024年3月にフィリピンに移住しました。毎日がチャレンジですが、そこそこ幸せに生きてます。メガネ属性に弱い。