フィリピンの健康保険(HMO)と実際に使用した感想、歯医者へ行った話とか。

フィリピンに移住する上で、どうしても頭に過ぎることの1つは健康だと思います。特にフィリピンに移住する人の多くは30代以上だと推測しますし、リタイヤメント・ビザの申し込み条件が50歳以上に繰り上げされたことを考えると、やっぱり健康が気になる年齢層が多いとは思います。

しかし僕のように住民票を抜いて移住している場合、日本の健康保険に入ることはできませんし、もちろん日本のクレジットカードは全て解約済み(フィリピンのクレジットカードを何枚か持っています)なので、日本のクレジットカードの付帯保険も使用できません。クレジットカードの付帯保険も旅費をクレジットカードで支払わなければならないなどの条件が年々厳しくなっている印象ですし、そもそも移住でクレジットカードの付帯保険って条件的にどうなんでしょう。もし大きな病気を患ったところにクレジットカード会社から保険適用外って言われたら、それこそ移住を諦めるくらいの重大な決断を迫られることになるので、僕は移住するなら日本のクレジットカードの付帯保険を利用することを勧めません。それに付帯保険の更新のために日本に帰るって、単純にズルい感じがして僕には単純にできません。また前述のように日本とフィリピンを行き来して、実質的な生活基盤がフィリピンにあると見做されて付帯保険の利用が停止させられるリスクなど考えれば、端から危ない橋を渡らず「ローマに入ればローマに従え」で、フィリピンの保険に入った方がいいのではないかと思います。あとはフィリピンで受ける医療費と国保とかの支払いを考えたりしたら、フィリピンで健康保険組合に入った方が安上がりな気がしないでもないです。もし高額医療が必要になった場合やフィリピンでは難しい治療は・・・その時に考えましょう。と言いたいところですが、海外でも使えるHMOもありますし(僕の会社のHMOは日本でもアメリカでも使える)、個人的にHMO以外にフィリピンの医療保険に入っているので高額医療費に備えてはいます。ということで今回はHMOのお話。

フィリピンのHMO

フィリピンにはHMO(Health Maintenance Organization)と呼ばれる民間の健康保険がとても多く存在します。正確に言えば日本にも健康保険組合がフィリピンのように多くあったのですが、経済が低迷してきて淘汰されたのが現在の姿と言えます。フィリピンの代表的なHMOを上げると以下の通りになります(保険会社というとAIAなどが含まれてしまうので、やっぱりHMOは健康保険組合と言った方がいいかもしれません)。

  • Avega
  • AMAPHIL
  • AsianCare
  • BenLife
  • COCOLIFE
  • 1 Coop Health
  • Dynamic Care
  • EastWest
  • Flexicare
  • Forticare
  • Fortune Life
  • Generali
  • Getwell Health Systems
  • Gain Health Care
  • HMI
  • HPPI
  • IMS Wellth Care
  • iCare
  • Intellicare
  • Kaiser International
  • MEDO Care
  • MI
  • Maxicare
  • Medasia
  • Medicard
  • Medilink
  • Medicare Plus
  • Optimum
  • Pacific Cross
  • PhilCare
  • SIMPLeTPA
  • Sun Lige GREPA
  • ValuCare
  • WellCare
  • eTiQa

などなど枚挙に遑がありません。この中で僕の経験上、AIA系のMedicardを利用する会社が多いような気がします。Medicardは豊富な種類の個人向けのパッケージで健康保険を気軽に買えるので、移住者向けとして良い選択肢だとは個人的に思っています。僕は会社が入っている別のHMOがあるので実際にMedicardを使っていませんが(病院には行ったことはありますが)、フィリピン人の友人からは気軽さと購入し易さナンバーワンだと聞いています。

HMOの適用範囲

今年(2025年)になって会社のHMOがグレードアップされて、適用範囲などが良くなったので、その一部を紹介してみたいと思います。

まず従業員の負担率は0%です。

  • 利用可能な年間保険額(本人)
    • 一般職
      • 20万ペソ
    • チームリーダー以上
      • 22万ペソ
    • オペレーション・リーダー以上
      • 26万ペソ

年間なので、この範囲内であれば使いたい放題で、入院した場合の個室利用も含まれます。例えば一般職で年額20万ペソ、日本円にすると50万円以上の医療費が一年無料(2025/01レート)って地味にすごいことだと思います。そんなに使い切れないですよ、僕は。

当然のことですが従業員の家族の負担率0%です。

  • 利用可能な年間保険額(家族)
    • 一般職
      • 16万ペソ
    • チームリーダー以上
      • 18万ペソ
    • オペレーション・リーダー以上
      • 26万ペソ

こんな感じで家族も保険料の支払い無く病院で保険が使えるので、フィリピンではいい会社に入ることが親孝行の一つだったりします。

この保険額は緊急医療なども全てカバーされていて、この年額であれば100%緊急医療も支払われます。さらに狂犬病のワクチンは年間2万ペソ、エイズのスクリーニングなど年間2万ペソ、感染症のカバーが年間3万5千ペソ、椎間板ヘルニアや脊椎症は上記の年間保険額でカバー、睡眠障害など年間2万5千ペソなどが別途付帯します。

出産も帝王切開と自然分娩、流産などはそれぞれ1万ペソが支払われます。

HMOのプランによって異なるのですが、僕の会社は歯科診療と精神医療もカバーされているので、各種精神病、また虫歯治療や予防検診、抜歯から歯列矯正のコンサルタントまでカバーされています。

例えば、日本の場合は保険料を支払って3割負担なので、例えば2日通院した場合は初診料と再診料、それに処方箋料を含めて約4300円のうち、本人の負担は1300円ほどになります。これだけで済むと考えれば安いのかもしれませんが、保険料を支払っているのに元が取れていない気がしてなりません。しかもキャッシュレス決済に対応していない病院では、現金を持って行かなければなりません。

これがフィリピンだと窓口負担は0ペソです。もちろん上述の年額内の話ですが、この範囲であれば窓口負担は0ペソです。そしてHMOの従業員の負担は0ペソです。ということは使わなければ損!ということになりますね。

歯医者で実際にHMOを使ってみた

HMOが利用できる同僚のおススメの歯医者にFacebookで予約をして、実際に定期健診と予防検診をしてもらいました。当日持参したものはHMOのカードと本人確認のためのIDです。なんとなく2千ペソくらいもっていきましたが、後述のように単なる杞憂でした。

こんな感じで女医さんのリーダーシップの顕彰だったりが飾られていました。クリスマス仕様なのはクリスマス前に行ったからです。完全予約制だったので予約時間に受付に行って、HMOのカードとIDを出して待ち時間0で診療開始でした。病院もオンラインで時間を予約するとほぼ待ち時間0だったのは「何ここ本当にフィリピン?」と思いましたが、歯医者もそんな感じでフィリピンの進歩を感じました。マカティだからかもしれません。マヨール・アビゲイル・ビナイ万歳。

全体の写真がなくて申し訳ないですが、きちんと消毒してある清潔な医療機器でした。なおヘアーキャップとゴーグルなど一般歯科検診なのに厳重な感じでした。女医さんの手際はすごく良くて、英語もゆっくりと分かりやすく発音してくれました。歯の心配事があったので相談したら「全然オッケーだからいつでも来てね!」と気さくな感じで、とても接しやすかったです。興味深かったのは検診中に、助手に「あれとこれとこれもするから。あとあれとこれも」といった感じで伝えていたので、支払いの際の待ち時間が0でした。

定期健診と予防検診が終わって、窓口で「支払いは?」って聞いたら”You’re good to go”と言われて終わりでした。現金での支払いは0でした。もう何この便利なシステム。マジここフィリピン?って感じでした。あとでHRの友人に請求っていくらくらいだった?って聞いたところ約600ペソでした。保険使わなくても全然安いですね。

ということで

確かに現地採用の給料は低めな印象はありますが、それを賄うだけの福利厚生があったりするので、給料だけの単純比較だけでは語れないことは多くあるような気がします。

個人負担0のHMOがある現地採用、フィリピン移住の選択肢にどうでしょう。

この記事を書いた人
2024年3月にフィリピンに移住しました。毎日がチャレンジですが、そこそこ幸せに生きてます。メガネ属性に弱い。