フィリピンに移住する選択肢には、以下のような選択肢が考えられます。
僕は独身ですし彼女もいないので配偶者と結婚してフィリピンに滞在するという選択肢はできません。観光ビザの延長は仕事に拘束されない意味で自由度はありますが、その自由の代償として無駄な出費があります。家族で移住となると、ビザの延長だけで結構な出費になるはずです。そこでSIRVの取得を考えて書類なども備えていたのですが、現地企業から採用通知を頂いたので、現地で働いてみるのもいい経験だろうし、ビザ代を会社が負担してくれるなら御の字ですから現地採用の道を選びました。
フィリピン人にいつも「日本人って本当にセブが好きだよね」と言われます。僕も何でなのか分かりませんが、どうしてセブに移住を決めたのか、もしセブに移住した人がいたら教えてください。
兎角言う僕もセブに移住しようと思いましたが、ほとんどの現地採用がBusiness Process Outsourcing、いわゆるBPOというもので、BPOそのものに問題はないとしても(日本の大企業の下請けはBPOとも言えますからね)、その筆頭がコールセンターやチャットでのカスタマー・サポート等となっていました。ちょっとクリエイティブな感じがしませんし、あまり学べるものもなさそうな感じな上に、僕のスキルを活かせる感じでもありませんでした。もちろん僕のリサーチ力が低かったのかもしれません。
マニラは状況が違って、一番いいオファーをくれたのはラグーナのサンタロサにある会社で、シニア・エンジニアとして月給16万ペソ、コンドミニアムの提供、プライベートカー付きという破格の条件でした。16万ペソは今の日本円(2025/01)で言えば約43万円。しかもコンドミニアムを提供してくれるので家賃が要らない。さらに車も提供してくれるので移動に困らない。ぐぬぬ…と悩みつつ、他の会社の面接や入社試験を受けました。できればBGCかマカティがいいな~と思っていたところ、まずBGCの会社からはブリッジ・エンジニア、いわゆる英語⇔日本語の通訳をするプログラマーという案件でした。給料は12万ペソ、三食の社食の提供がありました。ぐぬぬ…と悩みつつ、結局はマカティの会社のジョブ・オファーにサインしました。ラグーナからマカティやBGCはちょっと遠いし、エンジニアとは少し違う分野も挑戦してみたかったのが主な理由です。マカティの会社は給料の面で言えば大学生の初任給くらいにはなりますが、就労時間が短いのと、自分のスキルが活かせる上にスキルアップも目論むことができたからです。何より日本人が一人も働いていない、ある意味で僕がパイオニアとして会社で働けるのも大きかったです。
なお、マニラのどの会社も英語が必須条件で、ベルリッツ試験と英語面接で英語力を試されました。
セブとマニラとの違いは、セブの現地採用はコール・センターが中心ですが、マニラはスキルが求められると言えます。またセブだと英語が話せなくても現地採用として働けるようですが、マニラだと英語が話せないと厳しいと思います。まずセブのように日本人が多く働いている会社が少ないので、トレーニングも同僚とのコミュニケーションも全て英語になります。このような状況になっている理由として考えられるのが、マカティもBGCもPEZAという経済特区で、そのPEZAビザを使って日本人を雇っている(駐在員含め)からです。これはフィリピン人20人に対して外国人1人がPEZAビザという比較的容易に取得できるビザを発給できるからです。つまり会社に100人のフィリピン人がいたら、5人までしか外国人を雇うことができません。そこで日本向けのコールセンターなんてやろうものなら、日本人は5人しか雇えませんから仕事が上手くまわりません。しかも多国籍企業になると日本人だけで5人を雇うわけにはいかないですから、必然的に日本人の割合は少なくなります。そのような状況で日本語でのトレーニングなんて十分できないわけですから、フィリピン人と一緒に英語でトレーニングを受けるというのが合理的かつ現実的なわけです。
なお既に会社を辞めた同僚や転職してきた同僚の話を聞いた上で、マニラで一番給料がいいのは、やっぱりアクセンチュアだそうです。ただアクセンチュアもプロジェクトによって仕事の忙しさなどに差があったりすると元アクセンチュアの同僚が言っているので、その責任の重さや労働量と見合う給料なのかは検討すべきだとは思います。
僕の会社はトレーニングが2か月ほどあったのですが、これがめちゃくちゃ楽しくて大学生に戻ったような感じでした。トレーナーのお姉さんがかわいかったのも大きいと思います(笑)一緒にご飯を食べたり、おやつを食べたり、もちろん食堂ではコーヒーやココアなどが飲み放題で、和気あいあいとした会社です。行商さんも来るので、クエックエ(オレンジ色の衣のうずらの卵を揚げたもの)やクチンタ(kakaninの一種で上手く説明できませんがもちもちした何か)、あとはルンピアントゲ(もやしの春まき)やトゥロン(バナナの春まき)など食べながら仕事をしてます。
これがクチンタ。
これがルンピアントゲ。
前述したように就労時間が短いので給料は結果的に低くなりますが、1日に自由に使える時間が多いのは地味に嬉しいです。拘束時間は8時間となっていますが、実質的に働いているのは休憩を入れて7時間以下です。この労働時間を考えると給料は低くないのかもしれません。休暇は病欠と有給とで1年に合計30日貰えます。有給はパソコンから申請すれば終わり。病欠は会社に連絡して、会社のクリニックでオンライン診察をしてもらって終わりです。また給料から日給分が引かれても良ければ基本的には一か月に2週間くらいを上限に休むことができます。またフィリピンの祝日では給料は2倍ですし、もちろん祝日なので休暇を取ってもいい(有給は消費されない)ことになっています。同僚は年末年始は祝日休暇と有給、病欠を使って1か月くらい休んでました(笑)仕事の難易度は難しいものではなく、また仕事が暇なときには色々なトレーニングを受けることができます。たった一つ、不平を言っていいなら「オフィス内にスマホの持ち込み禁止」なところでしょうか。これは機密情報を扱っているので仕方がないのかもしれませんが、オフィスから出てロッカーまで行ってメッセージ確認するのは面倒です。と言っても、オフィスからロッカーまで1分かかりませんが。
基本的に日本語の仕事よりも英語の仕事が多く、社内の会話は英語<タガログ語なので、ちょっと慣れるのが大変ですが、僕は世界中どこにでも住める順応性おばけだという自負を持っているので、言葉の問題でストレスを感じることはありません。それに土日は同僚とごはんを食べに行ったり、カラオケに行ったり結構マニラ・ライフを楽しんでます。
結果的に、僕は現地採用で結構楽しく働いてますし、労働環境は日本よりいい感じがします。それよりなにより問題に感じていることは、主に僕はアメリカ・香港・日本のクライアントと接していますが、日本のクライアントが一番態度が悪いです。確かに例えば香港のクライアントは時間に厳しいのですが、それでも一緒に働いていても楽しいです。アメリカのクライアントと働くと「仕事は楽しくやろうぜ」的な感じで、メーリング・グループでも冗談を言い合ったりと環境としては最高です。しかし唯一日本のクライアントは基本的に自分たちの立場が上で、こちらに対しては何を言ってもいい、何をしてもいい、だってお金払ってるんだからという感じのカスタマー・ハラスメントを当然のように行います。契約的には立場は同レベルなんですけど?こりゃ世界的な日本の地位も下がるってものだというのをフィリピンで実感しています。
給料が安くて生活が大変ということもありませんし、月3万ペソのコンドミニアムに住んで、一週間に数回日本食を食べて、基本的に食べたいものを食べて、旅行にも行ったりしてますが、それでも毎月僕の場合は7万円以上の貯金ができています。生活用の銀行口座には常に10万ペソ以上入ってますし。確かに駐在員の給料と比べれば悪いのかもしれませんが、業種に依るでしょうが日本よりも給料っていいです。それに仕事の自由度が違いますし、仕事を中心にしなくていいのでストレスも溜まりません。生活費は東京と比べれば圧倒的に安いですし、それでいて質の高い生活ができます。毎週一回はマッサージも行きますし、なんだかんだ全然普通に楽しく生活ができています。
ただし僕は順応性おばけなので、僕の言葉を信じると失敗するとは思います。なので一か月くらいAirBnbとかでマカティに住んでみて、一日3食ほど外食してみて、おやつも食べて、一週間に一回くらいマッサージに行ってみて、いくらくらい自分が使うものなのか、これで生活に満足できるのかを試してみることは重要だと思います。
就職する会社と場所は慎重に選んで、面接のPreferred salaryはマジで真剣に考えた方がいいと思います。フィリピンでは固定された給料を支払うというものではなく、面接でPreferred salaryを聞かれて、それに基づいて給料が支払われます。例えば面接でPreferred salaryを聞かれて、毎月6万ペソもあれば十分だと言えば、6万ペソのジョブ・オファーが届きます。もちろん会社がスキルを評価してくれれば会社が給料を調整してくれることもあります。もちろん逆もあって、面接で「20万ペソ下さい」って言ったのに、ジョブ・オファーでは10万ペソに減額されてるってパターンもあります。
現地採用って悲惨な話をしばしば耳にしますが、僕の場合は結構満足しちゃってます。ビザの費用も掛からないし、仕事は大変じゃないけどスキルアップもできて、さらに拘束時間も短いし、給料もそこそこあるし、休暇だって結構自由に取れるし、これで不満なら日本のどの会社で働いても不満じゃね?というレベルでは満足してます。
フィリピン移住に関して、現地採用という選択肢は結構ありなんじゃないかと思っています。