僕のように住民票を抜いて非居住者となると、日本の証券会社の口座を維持することは基本的にできません。もし非居住者でありながら、日本の証券会社を通じて株式売買を行っていると、レギュレーション違反な上に税金など面倒なことになるので、バレないんじゃないかと考えるのは避けた方が賢明でしょう。というか止めましょう。しかしフィリピンに移住したからと言って資金を銀行に預けておくのは勿体ない話ではあります。フィリピンからアメリカ株などを買う方法としてはInteractive Brokersを使う手もあります。僕もフィリピン在住者として口座開設はしましたが、大きな資金を動かすのは送金の手間などを考えて結局は使っていませんし、将来も使うかは懐疑的ではあります。ということでフィリピン株を選択(銀行の優良顧客になればフィリピン株より利回りのいい金融商品を紹介してくれますが、後日談ということで)しました。もちろん投資詐欺には気を付けないといけないので、どこで証券口座を開くかは吟味する必要があります。PSEにはオンラインブローカーのリストを上げているので、この一覧に載っている会社の証券口座を開くようにしましょう。
日本から唯一AB Capital Securitiesの口座開設ができますが、フィリピンに移住した人以外には以下の点から個人的にはおススメしていません(これからフィリピンに移住する人にも日本からの口座開設はおススメしません)。
もっと言及すればおススメしない項目は増えますが、ざっとこの3つだけでも日本に住みながらAB Capital Securitiesの口座開設をしてフィリピン株をすることは勧められません。
まず日本から口座を開いて売買をすると適応される税金が高いです。もちろん利益は日本でも確定申告しないといけませんから、フィリピンと日本で課税される形になるわけですね。この二重課税を避ける制度があったとしても、ほとんどの会計ソフトは二重課税の免除に関する機能がないので自分で計算しなければなりません。
確定申告のことは置いておいて、フィリピン株そのものにかかる税金が高いことを解消する方法としては、フィリピンに移住して、実際にフィリピンに住んでいることができることを証明できる書類を提出することです。これができればフィリピン国内の税金が適用されます。その書類はSIRVなどの有効なビザや就労許可(SWPでも可)、TIN(納税者番号)などが必要で、ツーリストステータスのACR I-Cardだけでは不十分です。そのため、ツーリストビザを延長しながら株式の売却益あるいは配当金でフィリピンに移住を考えている場合は、高い税金を払い続けることになりますし、日本で確定申告をしなければなりません。
次に出金についてです。AB Capital Securitiesから海外の口座へ出金すること自体は可能です。ただし米ドル口座だけの対応になっています。海外から米ドルを受け取るだけでも銀行の手数料は高い場合が多いです。仮にフィリピン株を数千万円単位で投資していた場合、その出口戦略をきちんと考えておかないといけないでしょう。またフィリピンの現地口座を開設できれば良いのですが、近年は非居住者の外国人の口座開設が難しくなっており、僕のように会社からのエンドーズメントが求められたり、ツーリストビザではないビザなどが口座開設の際に求められます。パスポートだけで口座開設ができた話を聞きますが、レアケースを一般論化して無理強いするのだけは止めましょう。
最後に信用取引ができないというのは株式投資において大きなデメリットになります。もちろん大きなリスクを負うことには違いはないのですが、100ペソの株が50ペソ上がって150ペソになって50ペソの利益を得るというのは、手間暇を考えたら全くメリットがありません。単純に言って1000万円で500円を稼ぐことは容易ですが、1000円で500円を稼ぐこととは難易度は桁違いです。フィリピンのコンドミニアム投資にも同じことが言えますが、日本の不動産投資は不動産を担保に入れて銀行からお金を借りて、さらに不動産投資をするというレバレッジをかけられるからこそ意味があるわけです。それがフィリピン株だとできません。素直に日本国内の株式でレバレッジをかけていた方が大きな利益を目論むことができるはずです。
このように苦労をして日本からフィリピン株に投資するメリットはないとも言えるので、日本国内からのフィリピン株への投資は個人的にはおススメしていません。仮にフィリピンに移住する予定があったとしても、移住してから証券口座を開いた方が無駄な手続きもなく、送金手数料もかからず、また無駄な税金を納める必要もありません。
まずBPIに銀行口座を持っていて、フィリピン国内に携帯電話番号を所有していることが大前提になります。というのも、BPIに口座を持っているとBPI Tradeの口座開設が劇的に簡単になる上に、入出金もAB Capital Securitiesよりも圧倒的に便利だからです。なお本人確認のための電話連絡なども一切ありません・・・だってBPIに口座を持っているので本人確認が済んでいるわけで、改めて本人確認をする必要がないからですね。
まずBPI Tradeのホームぺージの口座開設画面に進みます。
口座の種類はそれぞれ好みで選択してください。
と言った感じです。
ここでBPIに口座を持っているかを聞かれるので「口座を持っている」を選択すると、BPIのログイン画面に映ります。ワンタイムパスワードを入力すると、BPIと情報が共有されて入力のほとんどを省くことができます。
こんな感じでBPIで口座開設した時のIDとパスワードを入れるだけで問題ありません。
基本的な情報の説明は省きますが、フィリピンに在住していてもSSSを持っていない場合があると思います。現地採用であったり駐在であったりすれば、間違いなくSSSには加入しているはずなので問題はないと思いますが、SIRVなどで移住している場合、ここが入力が必須項目になっているので事前にBPI Tradeに問い合わせておく必要があります。
入力を終えて次に必要事項が記入された申請用紙をプリントアウトし、下部にある名前のところにサインして、IDのスキャン画像と一緒に指定されたメールアドレスに送ります。すると2~3日くらいでBPI Tradeから口座開設が完了した旨のメールが届きます。初期ログインIDやPINなどはメールの下の方に書いてあるので、確認してください。
ここから僕も躓いたポイントです。口座開設ができたのに入金用の口座などが良くわかりませんでした。BPI Tradeのカスタマーサポートに聞いたところ、ここからはWeb上ではできず、必ずBPIのアプリ(BPI TradeのアプリではなくBPIのアプリ)で行ってくださいとのことでした。BPIのアプリにログインして、ホーム画面を下にスクロールすると”Manage My Accounts”があるのでクリックします。
するとBPIで開設した口座以外の口座番号が表示されていると思います。その口座がBPI Tradeに入金するための口座なので、Showにチェックを入れて保存します。Savings Accountには口座番号が表示されていますが、画像では消しています。
あとは多分説明不要だと思うので、ざっと行きましょう。
BPIに既に持っている口座から、このBPI Trade用のSavings Accountに資金を移動するだけです。10:00pmまでに入金すれば翌日の9:30amの市場がオープンした時にはBPT Tradeの買付余力に反映されます。AB Capital Securitiesのように入金通知をする必要もなく、また送金手数料など一切かかりません。
これで快適にフィリピン株に投資することができます。送金する手間が大幅に省けるのがBPT Tradeの大きなメリットですが、買付画面などは他の証券会社の方が見やすい気もします。
フィリピンに住んでいないと役にも立たない情報ですが、実際にフィリピンに移住を考えていたり、あるいは既に移住している人の役に少しでも役に立てればと思います。
※当然のことですが投資は個人の判断で行うものなので、口座開設にしても、そのあとの管理にしても、十分に情報を吟味して行うようにしてください。